踊る曲 踊らされる曲
27歳の君へ
君の時代にはどんな曲がかかっているのだろう。
父さんの時代には
「自分らしさサイコー」っていう曲がかかっているよ。
父さんの父さんの時代には
「働いた分だけモノが買えて幸せになれる」って曲が
かかっていたらしい。
曲にあわせて踊っていると、
自分の能力以上の振り付けも上手にこなせたりして
とっても気持ちいいんだ。
人生は重い荷物を背負って遠い道を歩くようなものだから、
踊って気持ちよくなって辛さを忘れようとするんだ。
だけど、踊ったからといって早く前に進めているわけじゃない。
時間は誰にとっても同じように流れているのだから。
忘れないでほしいのは、
曲にあわせて踊っていると、
けっこう疲れてしまうという当たり前のことだ。
踊っているときは気持ちいいんだけど、
どんな曲もいつかは終わるものだし。
君を踊らせてくれるのは時代の曲だけじゃない。
「子どもをいい大学に導く母親の物語」とか、
「姑の介護を献身的に続ける嫁の物語」とか、
「暴力的な夫をけなげに支える妻の物語」とか、
「裸一貫からのし上がっていく成り上がり物語」とか、
「信心深い○○教信者の物語」とか、
人生の辛さをしばらく忘れさせてくれそうな物語の曲が
世の中にはたくさん用意されている。
忘れないでほしいのは、
自分が好きで踊っているってことだ。
人生の辛さを忘れるために踊っているだけなのだから、
上手に踊れたからって、
何かご褒美がもらえるなんて期待しちゃいけない。
踊ることで本当の問題を先送りにしてしまっていて、
何かしっぺ返しがくることは少なくないけどね。
しばらく踊ったら、踊り疲れる前に自分で踊りを止めて、
また足を引きずりながら一歩一歩進まなきゃいけない。
あせることはない、
時間は誰にとっても同じように流れていくのだから。
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