いよいよ出産予定日が迫ってきました。オタクの血脈がわが子にどう受け継がれるかが気になる今日この頃です。
私がまだ東京に住んでいた頃、出張で父が上京してきました。
「どうしても行きたいところがあるから連れて行ってくれないか?」
「どこに行きたいの?」
「さくらやホビー館!」
ああ、私の父親らしいチョイスだなぁと思いながら連れて行ったことを覚えています。
そういえば、私がまだ小さな頃は、父はひたすら帆船模型をつくっている人でした。帆船模型にはまる人は、プラモ好きの中でも上級者とされています。
細かい部品が大量にあって大変なのはもちろんのこと、何よりも、マストとマストの間に張り巡らされた大量のロープを再現していく作業が非常に根気を要するからです。一本一本絡まないように気をつけながら、しかもそれぞれのロープがピンと張りつつ、なおかつマストが傾かないようにテンションを調整していく作業は、考えただけでも気が遠くなります。
あの海洋堂も、高度成長期の頃、成り上がり社長達が社長室に何を飾ればいいのか分からず困っていたのに目をつけて、帆船模型の完成品をブロンズ塗装仕上げして売りまくっていた時代がありました。50万円で売れたと言うくらいですから、帆船模型をきれいに完成させるのがいかに大変かが分かります。
そんな帆船模型、しかも大型モデルの完成品が、いくつも並んでいる家でした。
しかし、弟や妹が生まれてしばらくすると、あんなに好きだったプラモデルを、父はすっぱりと止めてしまったのです。
といっても、子ども達を育てあげるために仕事に専念したという美談ではなく、当時発売されたばかりのワープロに夢中になったからでした。シャープの書院をあそこまで使いこなしていた人はいないのではないかというくらいに、それはそれは見事なレイアウトで職場のマニュアルなどを作り上げていました。
オタク的専門能力の高さで出世しても良さそうな父ですが、これまたオタク的なコミュニケーション能力不全のため、何とかクビにならずにすんでいるというレベルが実情なのでした。
そんな父ですが、ワープロ専用機にこだわるあまり、パソコン化の波にはいまいち乗り遅れてしまっています。
実家に帰ってパソコンでの年賀状作りを手伝っていた時のことでした。「筆まめ」と「筆ぐるめ」というよく似た名前の年賀状ソフトがあります。その両方のマニュアル本が書斎に並んでいたのです。
「どちらかは間違えて買っちゃったんだろうなぁ…」と思うと、あんなに電脳関係に強かった父の老いをリアルに感じてしまって、どうにもせつなくなったのを覚えています。あの世代にしては十分に使いこなしているんですけどね。
そんな父は、さくらやホビー館で鉄道模型のフロアを目指したのでした。父が鉄ちゃんだという話は聞いたことがありません。でも、プラレールはねだった覚えがないのに大量にあったなぁ…、なんてことを考えていると、
「やっぱりあった!これでうちのドールズハウスにも電灯がつくよ!」と言って、鉄道ジオラマに使われる麦球(ミニミニサイズの豆電球)を手にしていました。
老後のたのしみとしてドールズハウスを始めるとのこと。家や家具、食器などを人形のスケールにあわせたミニチュアサイズでつくる遊びです。要するにフィギュア遊びです。
ここにオタクの血脈がつながりました…。
実家には、今は亡き祖母がつくったという人形が大量に飾られています。じつは、祖母も人形=フィギュア好きだったのです。
祖母→父→私とフィギュア遊び好きの血脈が受け継がれていることを考えると、わが子にも受け継がれる可能性は大いにあります。
フィギュア遊び好きはどちらでもいいとして、電脳関係に強いという父から受け継いだ血脈は、何かと便利なので受け継いでくれると便利だろうなぁ…、それでいてルックスは妻に似てくれれば…。
なんて都合のいいことを考えてしまいますが、そううまくいかないことは承知しています。
とにかく、無事に元気に生まれてきてくれたらそれでいいんですけどね♪
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