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2009年7月 6日 (月)

著作権関係でセコくてうまい詐欺を見た

「あなたの作品の著作権を登録することで、あなたのアイデアを守りましょう!手続きは代行しますよ!」

と誰かから言われたら、その人は詐欺師です。この言葉の何が詐欺なのか分からない方は、この記事を最後まで読んだ方がいいと思います。

中小企業の経営者や個人事業主の集まりに、ネットやら法律やら色々と詳しい先生という立場で参加した時のことでした。手先が器用なのを何とかビジネスに結びつけたいというおばさんが、彼女が考案したというちょっとしたアイデア小物を手に話しかけてきたのです。

要約すると、そのアイデア小物がビジネスとして成功するかどうか率直な感想を聞かせてくれとのことでした。そのアイデアは、正直言ってアイデアと呼ぶのもはばかられるレベルでしたし、何より誰でも簡単にマネして同等品をつくることが出来るものでした。私はそのことを言葉を選びながら答えたのでした。

すると、彼女もその問題点は分かっているというのです。なんでも、知り合いの息子さんで著作権関係の仕事をしている人に相談したところ、

「アイデアを模倣から守るために実用新案か特許を申請したいところだが、この程度のアイデアでは無理だ。だから、このアイデア小物の『説明文』についての『著作権』を登録しよう。私がその手続きを格安で代行してあげる。そうすれば間接的にあなたのアイデアは守られる。」

と言われたというのです。

そこまで聞いた時点で私には詐欺としか思えなかったものの、知り合いの息子さんに持ちかけられたのならばと、出来る限り好意的に解釈する方向性で相談にのったのでした。

「著作権というものは特許や実用新案と違って、登録のための手続きなどは特に必要ないはずです。何かの勘違いじゃないですか?」

「いや、間違いない。手数料を1万円ほど払ったところ、ちゃんと登録番号の書かれた立派な証書のようなものが送られてきた。文化庁にきちんと登録した会社だと言っていた。」

「うーん…。もしかしたら、著作権『登録』ではなくて、著作権『管理』のことなのかもしれませんね。
JASRACのように、著作権使用料の徴収などを代行してくれる会社とかなんですかね?
その便宜上の管理番号が書かれた紙を送ってきただけとか?
文化庁が云々というのも、そういえばJASRACの寡占を防ぐために著作権管理団体を新しく届け出制にするとか言っていましたし。
ただ、あなたの説明文の著作権を管理したところで、あなたのアイデア小物を模倣から守ることにはほとんど何の効力もないので、どんなに好意的に解釈しても、限りなく詐欺に近いと言わざるを得ないですね…。」

「ああ、そうですか…。はぁ…。ありがとうございます…。」

彼女のアイデア小物がパクられる心配なんて、そもそもほとんど無いのだから、そのまま放っておくのも手かなとは思いましたが、何というかだましの手口が微妙に良くできていることに腹が立ってしまって、真実をそのまま口にしてしまったのでした。

帰って調べてみたところ、闇は思っていた以上に深いというかセコいというか…。

知的所有権協会という公益法人風の名前の株式会社が中心になってやらかしています。

知的所有権協会

そもそも著作権については、日本を始めほとんどの国は「無方式主義」を採用していて、著作物を創作した時点で自動的に著作権が発生するということになっているのです。登録なんてしなくても最初から著作権は発生しているのです。

知的所有権協会のセコいところは、著作権が「発生したことを一緒になって確認してあげる」ことを、「登録」と表現しているとちゃんと書いていて、完全なウソをついてしまうことを微妙に逃れているところです。ウソではないんです。ただ、何の役にも立たないというだけです。そして、著作権もちゃんと発生しているのです。何もしなくても自動的に発生するので当然ですが…。そして、登録料が非常に安いというか、だまし取られたところで何とも言いようのない微妙な額に設定してあるのが、これまたセコいというかうまいというか…。

更には、「著作権管理士」なる公的資格風の民間資格を自分たちで勝手にでっちあげて、それになるためのハウツー本まで出版しているという、絵に描いたようなサムライ商法まで合わせ技でやっているのです。

知的所有権協会のせいで自分たちの領域を荒らされまくっている日本弁理士会が、何とかとっちめてやろうと裁判などを起こしてきた歴史があるようです。

日本弁理士会「民間業者の『知的所有権(著作権)登録』の勧誘にご注意!

日本弁理士会の書き方を見ていると、この悪徳商法の被害者は、意味のない登録をお金を払ってした人よりも、その意味のない登録をふりかざして「お前の会社の○○という製品は私のアイデアのパクリだ!著作権も登録してあるんだ!権利侵害だ!内容証明郵便を送りつけたから覚悟しろ!」みたいなことを言ってくる困ったさんにつきあわされる企業の方がかわいそうっぽいです。

いやはや何というか、色々と哀愁漂うセコい詐欺の現場に立ち会ってしまった話でした。

※7月7日追記
文化庁は正式な著作権登録制度を設けているんですね。知らなかったです。それにともなって、記事冒頭の表現を修正しました。無方式主義なので特に登録しなくても著作権は発生するけど、著作権を譲渡する場合の取引の安全とかを守るために設けているようです。

文化庁 著作権の登録制度について

うーん…、これは紛らわしすぎる(;^ω^)
文化庁も、知的所有権協会の息の根をきちんと止めておかないと、色々と勘違いした人がたくさん湧いてきて大変でしょうに…。

はてな匿名ダイアリーに転載しておいたところ、コメント覧でこの制度について教えてもらった次第です。文章を広く公開して意見を募ると、色々と深めてもらえていいですね♪

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コメント

被害が広がる前に、著作権は義務教育のなかで
教えたほうがいいでしょうね。
グレーゾーンが多くて余計混乱するかもしれませんが。

投稿: 800 | 2009年7月 7日 (火) 21時30分

>>800さん
著作権教育は本気でやろうとすると、
色々と難しいですからね。
で、中途半端にやると、このような詐欺の
いいカモを量産することになってしまったり。
本気で著作権を厳格に守ろうとすると、
ネットの魅力が半減する感じですし、
どうにも難しいものです。

投稿: アキバ | 2009年7月 9日 (木) 02時38分

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