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2008年10月19日 (日)

超豪華な声優陣を集めてもWebラジオをやらないと「イヴの時間」は盛り上がらない

Yahoo!動画で無料配信中のオリジナルアニメ作品「イヴの時間」について熱く語るシリーズの第三弾です。

第一弾が
「イヴの時間」と「電脳コイル」に共通するSFの進化

第二弾が
個人制作出身の吉浦康裕監督が切り拓くアニメの未来

そして今回は

衝撃その三
「超豪華な声優とか集めて話題になると思いきや個人ニュースサイトのピックアップの方が威力があるとかクチコミって不思議」

と題して語ります。

まずは、このブログの一連の記事に対して吉浦監督ご自身であろう方から頂いた感想を読んでいただきましょう。スタジオ六花BBSからの引用です。

早速読ませていただきました。非常に面白かったです。

自分が想定する未来像をどこまで実際の映像として落とし込むか。
この点は確かに苦労したり、悩んだりした点でもあります。
そしてブログの通り、それに一番悩んだのが、リビングでも野外でもなく、学校の教室です。
逆に申しますと、喫茶店イヴの時間はそれほど悩みませんでした。

次に更新される「口コミ~」が、個人的には一番気になります。
…その問題点は…確かに目下最大の問題です…。

吉浦監督が首をひねっている様子が目に浮かぶようです。

「イヴの時間」のプロモーションにおける、吉浦監督の目論見を推測してみるところから始めましょう。

 

「クオリティーが圧倒的に高ければ自然と人気は出るはず」という大前提
 ↓
プロモーションの予算がほとんど無いという不利はどうにでもなるという読み
 ↓
ネットを通じたクチコミが人気に火を付けてくれるはずという確信
 ↓
作品に触れてもらいさえすればファンとして取り込めるという自信
 ↓
とりあえず期間を区切っての無料配信は確定事項
 ↓
携帯デバイスしか見ないイマドキの若者対策もソフトバンクとのタイアップで完璧
 ↓
無料でも見てもらうためにはきっかけが必須
 ↓
豪華声優陣の起用という一石二鳥の作戦
 ↓
作品のクオリティーが更に高まるという第一のメリット
 ↓
それぞれの声優が抱えるファン層は確実に見てくれるはずという第二のメリットに大きな期待
 ↓
意外と声優ファンが見てくれない
 ↓
第一話の無料配信に対するリアクションが意外と盛り上がらない
っていうか声優ファンなんで見ないの?なんでブログとかで紹介しないの?
 ↓
状況が大きく変わらないまま第二話配信開始
っていうか声優ファンなんで見ないの?クチコミしないの?
 ↓
やっぱりイマイチ盛り上がらないけど次に打つ手となると難しいなぁ
っていうか声優ファンなんで見ないの?声優ファンのコミュニティーとかどうなってんの?
 ↓
各国語の字幕版の世界配信開始でグローバルな展開にとりあえず期待
っていうか声優ファンなんで見ないの?2chのスレッドはなんで過疎ってんの?
 ↓
視聴数がワケの分からないタイミングで突然増加してびっくり
 ↓
調べてみたら個人ニュースサイトで取り上げられていた
っていうか結局声優ファンとは関係ないルートから火がついた
 ↓
ブレイクに付き物のアンチも湧いてきてクチコミっぽくなってきたけど予断をゆるさない状況 ←今ココ

 

私の推測に過ぎませんが、それほど的を外していないと思います。「イヴの時間」の声優キャスティングの狙いすましぶりは誰の目からも明らかです。というか、そういう狙いならこれ以上無いという完璧なキャスティングです。

 

リクオ(主人公)
福山潤(「コードギアス」ルルーシュ)

マサキ(主人公の友人)
野島健児(「灼眼のシャナ」佐藤啓作)

サミィ(主人公の家のアンドロイド)
田中理恵(「ガンダムSEED」ラクス)

ナギ(喫茶店の店員)
佐藤利奈(「魔法先生ネギま!」ネギ)

アキコ(喫茶店で出会った女の子)
ゆかな(「コードギアス」C.C.)

リナ(?)
伊藤美紀(「ドラゴンボールZ」人造人間18号)

シメイ(喫茶店で出会ったおじいさん)
清川元夢(「エヴァンゲリオン」冬月)

チエ(喫茶店で出会った小さな女の子)
沢城みゆき(「ローゼンメイデン」真紅)

セトロ(?)
杉田智和(「涼宮ハルヒの憂鬱」キョン)

ナオコ(主人公の姉)
水谷優子(「ちびまる子ちゃん」まる子のおねえちゃん)

芦森博士(謎の機関の博士)
山口由里子(「エヴァンゲリオン」赤木リツコ)

 

改めてまとめてみても、死角がないというか、完璧な陣容です。

それなのに、Yahoo!ブログ検索で「イヴの時間」を検索した結果とか寂し過ぎて涙が出ます。

吉浦監督!その気持ち分かります!私も同じことに悩まされてきたからです。

声優ファンの行動原理が複雑すぎるんです!

漫画のイベント「まんさい」で声優トークショーを運営してもう三年目になりますが、声優ファンのみなさんの行動原理がある程度見えてくるようになるまで随分かかりました。

「まんさい」の声優トークショーのためにわざわざ県外から高知まで来て下さる声優ファンがたくさんいらっしゃいます。だから、せっかくお越し頂いた声優ファンのみなさんの期待に少しでも応えられるように、声優ファンというものを分析し続けてきました。

私は声優さんの持っている技術を心の底から尊敬していますが、作品から離れた形で特定の声優さんを応援したことは無くて、自分自身が声優ファンとして行動した経験が無いので、本当に難しかったです。

そして、やっと行動原理が見えてきました。それは、とても意外なものでした。

「好きな声優さんが主役をやっている作品を平気でスルー」

というものです。

これまでの「まんさい」のゲストで言うと、置鮎龍太郎さんの「地獄先生ぬ~べ~」、朴ロ美さんの「ターンエーガンダム」、森久保祥太郎さんの「メジャー」などについては、それぞれの声優さんの熱心なファンなのに作品を見ていない方がけっこういるのです。それでいて、森久保さんの場合は「テニスの王子様」の切原赤也役など、決して作品での登場頻度が高くないキャラクターでの人気が高かったりするのです。

この意外な行動原理の根底にあるのは、声優ラジオ声優イベントを非常に重視するという声優ファンに広く見られる傾向です。

つまり、声優ファンにとっては、好きな声優さんの出演するアニメ作品を視聴するというファン活動と同じくらいに、いやそれ以上に、声優さんのラジオ番組を聞いて、イベントに参加するというファン活動が重要で、そういったファン活動をトータルに展開できる作品に対して特に深い愛情を注ぐのです。

逆に言うと、作品関連のラジオ番組やイベントが充実していない場合は、好きな声優さんがその作品で主役をつとめていようと、作品のクオリティーが高かろうと、平気でスルーする声優ファンもいるということです。

だから、「テニスの王子様 オン・ザ・レイディオ」や「オー!NARUTOニッポン」などのラジオ番組が存在し、「ハレ晴レユカイ」という大ヒットソングを出演声優達が歌い、さらには「涼宮ハルヒの激奏」というライヴイベントが行われるわけです。

声優ファンではない人からすると、そのアニメ作品が声優ファン的にも盛り上がったからそうしたラジオ番組やイベントが開催されたという因果関係を勝手に想像しますが、実際は逆というか、少なくとも同時進行であって、ラジオ番組やイベントあってこその声優ファン的な盛り上がりなのです。

だから、「イヴの時間」を声優ファン的に盛り上げるためには、超豪華な声優陣をキャスティングするだけではほとんど意味が無くて、テーマソングを声優さんに歌っていただくとか、ポッドキャストで十分なのでラジオ番組を配信するとか、そこまでしてはじめて意味が出てくるのです。

ただし、単なるアニメファンというのも多く存在しているわけで、私も含めてそうなわけで、母集団としては声優ファンよりもずっと多いわけで、というか声優ファンはアニメファンの中に含まれるわけで、そんなアニメファンに対しては大手ニュースサイトという一斉配信装置が機能するのが、またおもしろいところです。

今回は【2ch】ニュース速報アワーズが震源地となったようです。私はゴルゴ31を経由して知りました。あとはGIGAZINEあたりが取り上げてくれたら完璧な気もします。

ということで、おそらく想定外の方向から援護射撃が来て面食らっている感じだとは思いますが、「イヴの時間」の良さがクチコミで広がっていくための種火が点って一安心!

 

ともいかないのが難しいところです。おそらく吉浦監督的には、発表期間が2ヶ月ずつあいてしまうという大きな弱点をカバーする仕掛けとしても、声優ファン的な盛り上がりに期待していたのだろうと思うのです。

ということで私が提案するのは、アニメイトあたりのノウハウの蓄積したところと組んでWebラジオ番組をつくって、ある程度まとめ録りして小出しにしていくとか工夫して、せめて1ヶ月に1回くらいは「イヴの時間」の世界に触れる機会をつくり出すという方法です。

Σ( ゚∀)ゲッ!!

アニメイトTV WebのWebラジオ・TV一覧を、今、初めて見てびっくりしました。こんなにいっぱいあるんですね。私がここまで偉そうに語ってきたことは、どうやら業界では常識のようです。でも、声優ファン属性の無い人だったら、アニメファンでも知らない世界ですよね!?違う?

どちらにしろ、「イヴのラジオの時間」的な番組をやらないことには、声優ファン的な盛り上がりが期待できないことは確実なようです。そして、その番組に吉浦監督も出演するなりコーナーを持つなりすれば、アニメファン的にも非常に興味深い番組になります。

むしろ、これからのアニメ監督はラジオなどを通じてファンと濃密につながるという方向性は避けられない流れなのかも知れません。押井守監督も宮崎駿監督も、あれだけメディアに自分の顔をさらして自分の作品をプロモーションする時代なのですから。

ということで、「イヴの時間」についての熱い語りはとりあえずおしまいです。最後まで付き合ってくださったみなさん、そしてわざわざ読んでくださっている吉浦監督、どうもありがとうございました。

「イヴの時間」のつづきをメチャメチャ楽しみにしています。

(と思っていたら反響が大きかったのでおまけです。「声優ファンはオンラインのコミュニティーが過疎っているからオンラインで情報を届けようとしても難しい」につづきます。)

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コメント

プロデューサーというか仕掛け人の存在が
大事なことがよくわかりますね。

「優れた作品なら自然と注目が集まるはず」
というのは真理のようでいて、実際には
そうでもなかったりしますし。

投稿: 800 | 2008年10月19日 (日) 22時09分

>>800さん
優れた作品なのに不思議と埋もれてしまう例が何と多いことか!
スタジオリッカBBSでの吉浦監督からの返事によると、プロモーション関係はタッグを組んでいる会社の方に任せてあるようです。これだけの豪華な声優をキャスティングする力があるのですから、Webラジオの可能性もゼロではないと思うんですよね。せっかくの豪華な声優陣を宝の持ち腐れにしてしまうのはもったいないですからね。
イヴの時間が埋もれてしまわないことを願っています。

投稿: アキバ | 2008年10月19日 (日) 23時24分

やっぱり、単純に知られてないんじゃないですかね?
自分はニュースサイトを軽く覗く程度なので、カトゆーさん経由で、今このサイトで初めて「イヴの時間」なる物を知りました

ラジオは確実に効果あるかと。
ラジオは基本DVDや関連商品の宣伝の為に放送するので、アニメ本編終盤、或いは終わってから始まることもあります。これから始まる可能性も十分ありますよ。でもこのアニメの場合それじゃ遅いのかな?
因みに、声優好きは逆にラジオは聴くけどアニメ本編は見ない(或いは切った)と言う場合も割とありますw

投稿: 通りすがり | 2008年10月21日 (火) 14時30分

>>通りすがりさん
えっ!声オタのみなさんってそこまで割り切っているんですか!?ラジオは聞くけどアニメ本編はスルーって!!そこまで過激なスタイルの人が少なくないとまでは、さすがに思っていませんでした。たしかに、アニメのながら見は厳しいけど、ラジオのながら聞きは簡単なので、気持ちは分からないではないです。

ラジオがアニメ本編終了後に始まることがあるというのも知りませんでした。テニプリの声優ファン的な盛り上がりの息の長さの秘密がやっと分かりました。アニメ放送はとっくに終わっているのに、いつまでたっても関連商品が出続けるのを不思議に思っていたのです。

アニメ作品の楽しみ方って、本当に人それぞれですね。漫画の祭典「まんさい」実行委員として、先入観を徹底的に捨てる必要性を感じました。色んなお客さんがいるってことですもんね。

投稿: アキバ | 2008年10月21日 (火) 19時17分

私も上記の通りすがりさんと同じく、根本的に”知られてない”ことの問題が大きいのではないかと思います。
このブログには同様にカトゆー家さん経由で来ましたが、「イヴの時間」という作品名自体は以前に目にした記憶があります。ですが、キャスティングはここで初めて知りました(そもそもこのキャスティングを前面に出した宣伝はやっていたのでしょうか?)。やはりプロモーション不足で、声優ファンにもろくに伝わっていない気がします。
あと声優ファンの”アニメ本編は見ない”話ですが、補足するなら好きな声優が出ていても、本編が面白くなければ当然とも言える話です。また低年齢層向けの要素が濃かったり、ファンになった作品と役や作品自体の傾向が違い過ぎたりするのも、スルー対象になろうかと思います(例に出ていた「地獄先生ぬ~べ~」「メジャー」「ターンエーガンダム」はこれらに該当すると思います。ついでにどれも長いし)。声優によっては出演数が多くてフォローしきれないケースもあると思います。

投稿: でん | 2008年10月22日 (水) 01時58分

>>でんさん
おかげでますますくっきりと「声優ファン」というものが見えてきた気がします。

”知られていない”問題についても、声優ファンの複雑さとクチコミマーケティングの対象としての難しさが浮き彫りになる話題だと感じました。

別記事を立ててまとめます。

投稿: アキバ | 2008年10月22日 (水) 09時14分

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