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2008年10月28日 (火)

中村にある「おもちゃのピーポ」は日本最後の「町のおもちゃ屋」

日本最後の清流「四万十川」が流れる高知県四万十市に、日本最後の「町のおもちゃ屋」があります。その名も「おもちゃのピーポ」

高知県西部の拠点として栄え、土佐の小京都とうたわれた中村。そのメインストリートである天神橋商店街は、いまやシャッター通りと化してしまっています。しかし、その寂しいアーケード街を出てすぐのところにある「おもちゃのピーポ」は、今でも踏みとどまって「町のおもちゃ屋」として頑張っているのです。

初めて店に入ったときは度肝を抜かれました。「なんでも鑑定団」がこの店だけのために出張してきても番組が成立するレベルの品揃えなのです。

出会いは3年前の今頃でした。中村に出張した私は、同僚が運転する車で店の前を通ったときに一瞬で「この店は何かある」と感じたのでした。一般的に想像するような「町のおもちゃ屋」にふさわしい、7メートルぐらいの間口で大きなショーケースという店構えなのですが、そのショーケースの密度の高さが半端ではないのです。それでいて雑然とした印象が皆無で、すべてのおもちゃが愛情を込めて陳列されていたのでした。

幸いホテルがすぐそばだったので、仕事を終えた後に急いで店に向かったのでした。まず、夕方6時をまわっているのにまだ店が開いていたことに感動しました。地方都市の個人商店はびっくりするほど早く店じまいするところばかりだからです。この一点だけでも「本気」で店をやっていることが分かります。そして店に入ってみると、そんな低い次元で語るのが失礼なレベルの「本気度」がビンビンと伝わってきて、思わず背筋が伸びたのでした。

間口は一般的な大きさですが、奥行きは30メートルくらいありそうなウナギの寝床です。店の中央を陳列棚の島が奥まで貫いていて、その島のまわりをぐるりとまわって店内を一周するというレイアウトになっています。

入り口のショーケースにはアンパンマンのぬいぐるみやブロック玩具の他に、ショベルカーやダンプカーのラジコンが並んでいて、建機のラジコンという分野があることと、そんなものまで取りそろえていることにびっくり。

入って右側はガンプラコーナーで、当時放送中だったSEED系を取りそろえているのはもちろん、リ・ガズィなどの渋いところまで並んでいて衝撃を受けます。400分の1ホワイトベースの巨大な箱までありました。

左側はソフビコーナーで、平成ウルトラマンを取りそろえているのはもちろん、大小のゴジラなどがキューピーちゃんといっしょに整然と並んでいます。

足下を見ると、おはじきやコマやけん玉やビー玉なども充実しまくり。柱にはスチロール制組み立て飛行機がぶら下げられています。

進んでいくと、今度は右側の壁が鍵付きのショーケースになっていて、ライフルからハンドガンまでモデルガンがずらり。手書きで「あそぶときは必ずゴーグルをしましょう。」という注意書きが貼ってあるのがイイ味を出しています。高知ブログ仲間でモデルガンマニアのSo-Suiさんの報告によると、いろいろなレアものがさりげなく売られていて感動したそうです。

関連リンク
辺境ホビーライフ「行ってきました噂のピーポへ!」

左側を向くと、島の真ん中あたりがレジになっていて、70代のおじいさんが座っています。後述しますが、このおじいさんが仕入れまで含めた全てをやっています。

さらに進むと、食玩などもふくめた様々なフィギュアが並んでいます。驚くべき事に萌え系も充実しまくりです。こんな地方都市に購買層が存在するのかが疑問ですが、とにかく並んでいます。ちなみに、今年の初め頃に行ったときには、海洋堂のリボルテックシリーズがすべて売られていました。都会の店も含めて、そんな店初めて見ました。

まだまだ奥があります。右側に今度は戦車や城や自動車などのプラモデルがぎっしり。そういえば昔、城のプラモつくって緑色の粉で芝生つくったなぁとか思い出してみたり。あまり詳しくないので分かりませんが、品揃えが充実しているのは間違いありません。おそらくレアものも多数眠っていると思われます。左側にはニッパーなどの工具類や塗料類が充実しています。

店の一番奥にはミニ四駆のコースが設置してあって、持ち寄ったマシンを自由に走らせられるようになっています。夜にばかり行くので、このコーナーが賑わっているところを見たことがありませんが、中村出身の同僚に聞くところによると昔から設置されていてそこそこ通った覚えがあるそうです。

一番奥の角を曲がって方向転換すると、そこはジグソーパズルコーナーになっていて、アグネス・チャンのジグソーパズルとかやたらと古いジグソーパズルが陳列されています。横にはパーティーグッズコーナーがあって、ハゲづらとか全身タイツとか取りそろえています。

方向転換してもう少し進む、つまり出入り口に向かって進むと、左側が大きなショーケースになっていて、なんとSPAWNのフィギュアがブリスターパックに入って飾られています。ちょうど一緒に行っていた詳しい同僚によると、かなりのレアものが多数並んでいたそうです。裏原宿とかでも買えないレベルの。

そして右側がラジコンコーナーになります。おそらくご主人の趣味なのだと思いますが、充実ぶりが半端ではないです。当時からブームになり始めていたヘリコプターや飛行船などの飛行系ラジコンをきっちり取り揃えているのはもちろん、水中系のラジコンもずらりと並んでいます。潜水艦のラジコンとかテンション上がりますよね、イルカのラジコンなんて初めて見ました。いわんや自動車系のラジコンが充実しているのは当たり前です。

更に進んで出入り口あたりには、今度はぬいぐるみがアンパンマン系を中心に並んでいます。レゴ系にも期待したのですが、定番の赤いバケツや緑のバケツがあるくらいでした。そういえばおままごと系も必要最低限の品揃えでした。ちなみにテレビゲーム系は一切ありません。何でも置いてあるというわけではなくて、実はかなりメリハリのきいた品揃えです。

店を一周した私は好奇心を抑えられず、店番をしていたおじいさんに話しかけたのでした。おじいさんが話してくれた内容はとても印象的でした。特に印象的だったことを箇条書きにします。

  • 仕入れも含めてすべて自分一人でやっている。
  • おじいさんは70代(ちゃんと教えてくれたのですがメモを無くしてしまいました)で、この道40年。
  • ぎりぎりの収支で頑張っている。数年前にハローマック系のチェーン店が近くに出店してきたが、返り討ちにして撤退していった。
  • その昔に威力を高めた改造モデルガンが流行した際にも絶対に改造モノは扱わないポリシーを貫いた。サバゲー好きの客を奪われたが、それでもポリシーを貫いた。おかげで、改造モデルガンが社会問題化した際に同業者が次々と摘発されても、生き延びることができた。
  • 仕入れは命がけ。発注のFAXを前に、そのプラモを10個発注するか20個発注するかで三日三晩悩むことも珍しくない。
  • テレビゲーム系は置いていた頃もあったが、利幅が小さすぎるので撤退した。
  • 今の女の子は基本的におもちゃを欲しがらなくなったので、女の子向けおもちゃからも基本的に撤退した。

その中でも一番印象的だったのが、おじいさんの情報源についてでした。

「ツボを見事についた品揃えですけど、雑誌とか読んでアンテナをはっているんですか?例えばコロコロコミックとか、ホビージャパンとか。」

「いや、雑誌のたぐいは一切読みません。メーカーや問屋から来る資料と、あとはこれです。」

と言って、レジの脇に積まれた「日本書紀」を指さしたのでした。

???????

どうやらおじいさんは郷土史家としての顔もあるらしく、このあたりの土地の歴史についてのうんちくを語り出しました。日本書紀の他にもいろいろな歴史書が積まれています。

でも、日本書紀とおもちゃの仕入れにどんな関係が???

謎は深まるばかりだったのですが、聞いても私が理解できる気がしないので、それ以上は追及しなかったのでした。

その後、出張で中村方面に行くたびに顔を出して仲良くなって、今年の初め頃に行ったときに、店の倉庫を見せてもらえるまでになったのでした。

そこには、いわゆるレアものとしての価値が出そうな在庫が積まれていました。仮面ライダーBLACk変身ベルトとか、私の世代には懐かしかったです。歴代のタイムボカンシリーズの超合金などもありました。誰かがアドバイスしたのかもしれませんが、今ではそういったレアものの価値をおじいさんは認識しているようです。

ただ、かなりの量を去年ネットで売ってしまったそうです。しかも、細かい対応をする余裕がないので、ひとまとめにして一括で買ってくれる人を探して、100万に満たないくらいの金額で落札されたとのこと。ネットショップを開業して小分けにして売っていけば、あるいは150万くらいの売り上げになったのかもしれません。実際、落札した人は小分けにして転売しているようだとのことでした。

「ちょっともったいない気もしますね…。

でも、仕方ないですよね。

…運転資金苦しかったんですか?」

おじいさんは小さくうなずいたのでした。

常にぎりぎりの経営だとは思いますが、いつまでも残っていて欲しいお店です。

 

おもちゃのピーポ

高知県四万十市中村東下町19
電話番号0880-34-4649

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コメント

五年位前にこちらで直立不動のガンバスターのフィギュアを即買いしました!(腕組みパーツ付き)

最近はネットで見ず知らずの人を相手に欲しいモノが手に入り易くなった一方で
ソレを手にした時の喜びやお店の人への感謝する事が少なくなってる気がします。昔BB戦士にハマって、ひいきにしてもらってたおもちゃ屋さんの事を思い出してしまいました。

投稿: ペットボトル | 2008年10月28日 (火) 13時05分

>>ペットボトルさん
さすがはペットボトルさん!
ピーポはチェック済みでしたか!
腕組みパーツ付きガンバスターは、さすがのツボのおさえっぷりですね。あれはいいものです。
リアル店舗ならではの良さがあるのは間違いないわけで、目先の価格だけに振り回されて、イイ仕事しているリアル店舗を買い支えることの大切さを忘れちゃダメですよね。
BB戦士懐かしいです。初めて買ったBB戦士プラモは、なぜかバウンド・ドックでした。何か可変モビルアーマー好きなんですよね。初めて買ったガンプラはサイコガンダムでしたし。

投稿: アキバ | 2008年10月30日 (木) 01時08分

こういう店が今も残っているのは奇跡的ですね。
レトロなだけでなく、最近のも置いてあるのが
さらにスゴイ。

後継者がいなさそうなところが残念ですね。
(あえて継がせないという考えもありそうですが)

ホビー系に限らず、最近はどこもチェーン店が
多くて個性がなくなっていく感じがしますね。
個人店が目立つ分野はケーキ屋くらいですかね。

投稿: 800 | 2008年10月31日 (金) 22時43分

>>800さん
ケーキ屋は盲点でしたね。
そういえばケーキ屋は百花繚乱な感じですね。
分析してみる価値は大いにありますね。
ケーキ屋と大資本の相性が悪い理由。
ピーポについては、何とか後継者をとも思いますが、中途半端なレベルの人では、半年ももたないと思います。新しい仕入れを放棄してレトロオンリーでやるのなら可能なのかもしれませんが、あくまで攻めの仕入れをするからこそのピーポですから。

投稿: アキバ | 2008年11月 4日 (火) 00時11分

これ。
しみじみとした話やね。

投稿: はなまる | 2008年11月 9日 (日) 22時30分

>>はなまる
しみじみと心にくるでしょ。
このじいちゃんが、単なるボケ防止で新たな仕入れもしないでただ店を開いているだけだったらどうでもイイ話だけど、かなりぎりぎりと攻めの経営をする=地方都市にちゃんと新しい文化がやってくるように頑張っているからぐっとくるんだよね。

投稿: アキバ | 2008年11月10日 (月) 02時04分

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